ベトナム食品輸出の注意点 2026年版 新制度と必要書類を徹底解説
- asianlustre
- 24 時間前
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ベトナム向け食品輸出でいま最も注意したいのは、ラベルや添加物の基準だけではありません。2026年に入り、食品安全制度そのものが大きく動き、一時停止と延期が続いている点です。
日本から食品を出荷する場合、通常は商品設計、表示、証明書、通関書類をそろえて進めます。ところが制度移行期は、同じ書類でも現地での扱いが変わることがあります。出荷済みの貨物が港や倉庫で止まると、納期だけでなく、保管費、品質保持、販売計画にも影響します。
この記事では、2026年8月時点で確認されている情報をもとに、ベトナム向け食品輸出で押さえたい実務ポイントを整理します。
作成:AsianLustre株式会社
最終更新:2026年8月
対象:ベトナム向け食品輸出

2026年8月時点では旧来の自己申告制が続いています
2026年8月時点では、ベトナム向け食品輸出は旧来の自己申告ベースで進められる状態です。ただし、これは制度改正がなくなったという意味ではありません。
2026年1月、ベトナム政府は食品安全に関する新政令46号と決議66.13号を公布しました。内容は、従来の自己申告制から、認証機関による検査を前提とした登録制へ切り替えるものです。対象には、食品そのものだけでなく、包装材や食品接触器具も含まれる方向でした。
ところが、運用開始後に現場で混乱が起き、貨物の滞留が相次ぎました。そのため政府は2月に適用を一時停止し、3月に停止期間を延長しました。4月には、新政令と関連法令の適用停止を無期限に延長する決定が出ています。
現時点での実務上の見方は、次のとおりです。
2026年8月時点では旧来の自己申告制で動けるが、年内に制度が再び動く可能性がある。
改正食品安全法および施行政令は、2026年10月頃の施行が見込まれています。ただし、すでに一時停止と延長が続いているため、予定どおり進むとは限りません。
そのため、輸出計画では「いま出せるか」だけでなく、出荷予定日、現地到着日、通関予定日が制度変更期に重ならないかを確認する必要があります。
制度改正の流れを時系列で確認します
制度の動きを簡単に整理すると、次のようになります。
時期 | 内容 | 実務上の意味 |
2026年1月 | 政令46号・決議66.13号を公布 | 自己申告制から検査ベースの登録制へ移行する方針が示された |
2026年2月5日 | 適用を一時停止 | 運用混乱と貨物滞留を受け、4月15日まで停止された |
2026年3月20日 | 停止期間の延長方針を通知 | 政府事務局がさらなる延長方針を示した |
2026年4月6日 | 無期限停止を正式決定 | 新政令と関連法令の適用停止が無期限に延長された |
2026年10月頃 | 改正食品安全法・施行政令の施行見込み | 現時点の予定であり、遅れる可能性もある |
この流れから分かるのは、ベトナム側も制度を変えようとしている一方で、現場の準備が追いついていないという点です。
食品輸出では、法令の文言だけで判断すると危険です。港、検査機関、通関業者、輸入者の理解がそろっていないと、必要な手続きが途中で変わることがあります。特に制度移行の前後は、書類の追加提出、検査待ち、確認待ちが起きやすくなります。

ラベル表示ではベトナム語表記と栄養成分表示を確認します
ベトナム向け食品では、ラベル表示が重要な確認項目です。現地で販売される食品は、ベトナム語表記が必須です。英語表記は補助的に使えますが、英語だけで販売用表示を完結させることはできません。
日本語ラベルの商品をそのまま送る場合でも、ベトナム語の補助ラベルを貼付して対応するケースがあります。ただし、補助ラベルの内容は、原文ラベルや実際の商品内容と一致していなければなりません。
確認したい表示項目には、次のようなものがあります。
商品名
原材料名
内容量
製造者または輸入者に関する情報
原産国
賞味期限または消費期限
保存方法
使用方法または注意事項
栄養成分表示
特に2026年1月からは、全包装食品を対象に栄養成分表示が義務化されています。対象となる栄養成分は、少なくとも次の項目です。
表示対象 | 確認する内容 |
エネルギー | 商品単位または一定量あたりの熱量 |
タンパク質 | 栄養成分分析値または規格値との整合性 |
脂質 | 原材料や製法との不一致がないか |
炭水化物 | 糖質表示との関係を確認 |
ナトリウム | 食塩相当量との換算に注意 |
日本国内向け表示をもとに作成する場合でも、ベトナム側の表示ルールに合わせた確認が必要です。単純な翻訳ではなく、現地規則に沿ったラベル設計として見直すほうが安全です。
成分と添加物はポジティブリスト制を前提に確認します
食品の成分確認では、農薬、動物用医薬品、重金属、食品添加物が主な対象になります。
ベトナムでは、農薬や動物用医薬品の残留基準が厳しく管理されています。青果物、畜産物、水産物、加工食品のいずれでも、使用原料に由来する残留物が問題になることがあります。
重金属についても、ヒ素、カドミウムなどを含む複数の物質について残留許容量が規定されています。特に水産物、穀類、茶、海藻、健康食品系の商品では、原料特性に応じた確認が欠かせません。
食品添加物は、ポジティブリスト制で考える必要があります。つまり、使用できるのはリストに掲載された品目で、かつ定められた使用基準や上限値の範囲内に限られます。
日本で一般的に使える添加物であっても、ベトナムで同じように使えるとは限りません。確認すべき点は次のとおりです。
添加物名がベトナム側のリストに掲載されているか
対象食品カテゴリーで使用できるか
使用量が上限値の範囲内か
キャリーオーバー成分の扱いに問題がないか
ラベルの表示名が現地ルールと合っているか
加工食品では、原材料メーカーから受け取った規格書だけでは足りない場合があります。二次原料、香料、調味料、着色料、保存料まで含め、ベトナム基準に照らして確認することが必要です。

包装材と食品接触材にも手続きが及びます
食品輸出では中身に目が向きがちですが、ベトナムでは食品に直接触れる容器や包装材も確認対象になります。食品接触材については、素材ごとに異なる品質基準への適合が求められます。
たとえば、次のようなものが対象になり得ます。
プラスチック容器
紙製容器
金属缶
ガラス容器
レトルトパウチ
内袋
キャップやシール材
食品に触れる調理器具や付属品
現行制度でも、食品に直接触れる容器や包装材については、別途の自己申告が必要になる場合があります。新制度では、この対象範囲がさらに広がる予定とされています。
ここで問題になりやすいのは、食品メーカーが包装材の詳細情報を十分に持っていないケースです。包材メーカーや商社から、材質、規格、試験成績、食品接触用途への適合性を確認する必要があります。
特に複合素材の包装では、外側、内側、接着層、印刷面などで構成が分かれます。食品と接触する部分がどの素材かを明確にしておくと、現地確認が進めやすくなります。
必要書類は品目区分ごとに変わります
ベトナム向け食品輸出では、全品目に共通する基本書類に加え、品目ごとに追加書類が必要になることがあります。最初に確認すべきなのは、商品がどの品目区分に該当するかです。
区分 | 必要書類 |
共通 | インボイス、パッキングリスト、自由販売証明書、原産地証明書 |
青果物 | 共通書類に加え、植物検疫証明書 |
畜産物 | 共通書類に加え、動物検疫証明書、施設登録証明 |
水産物 | 共通書類に加え、衛生証明書、施設登録証明 |
共通書類のうち、インボイスとパッキングリストは物流と通関の基本です。自由販売証明書は、日本国内で販売可能な商品であることを示す書類として求められることがあります。原産地証明書は、原産国確認や関税手続きで使われます。
青果物では、植物検疫証明書が重要です。対象品目によっては、病害虫に関する条件や輸入可否の確認が必要になります。
畜産物や水産物では、衛生証明や施設登録の有無が大きなポイントです。製造施設や加工施設がベトナム側の要件に合っていない場合、商品自体に問題がなくても輸出できないことがあります。
書類名だけをそろえるのではなく、以下の整合性を確認してください。
商品名が各書類で一致しているか
数量、重量、ロット番号が一致しているか
製造者、輸出者、輸入者の情報が合っているか
ラベル表示と書類上の商品説明が矛盾していないか
証明書の発行日と有効期間が出荷予定に合っているか
小さな不一致でも、通関時には確認対象になります。出荷前に、輸入者、通関業者、輸出代行業者で書類一式を照合しておくと安全です。
10月前後に出荷する案件は早めに段取りを組みます
2026年の実務で特に注意したいのは、制度移行の時期です。改正食品安全法および施行政令は2026年10月頃の施行が見込まれていますが、延期の可能性も残っています。
制度が再開または変更される直前と直後は、現場が混乱しやすくなります。担当機関の判断が統一されるまでに時間がかかり、通常より確認に時間を要することがあります。
10月前後にベトナムへ食品を輸出する場合は、次のような準備を早めに進めると実務リスクを下げられます。
現地輸入者に最新の運用状況を確認する
通関実績のある代行業者に品目ごとの必要書類を確認する
ベトナム語ラベル案を早めに作成する
添加物と残留基準の照合を出荷前に終える
包装材の自己申告が必要か確認する
船積み日だけでなく、現地到着日と通関予定日を確認する
制度変更時に備え、販売開始日まで余裕を持たせる
特に冷蔵、冷凍、賞味期限の短い商品では、滞留がそのまま品質リスクになります。現地で止まってから対応するのではなく、出荷前に止まりやすいポイントをつぶしておくことが大切です。

2026年版の実務チェックリストです
出荷前には、少なくとも次の項目を確認しておきたいところです。
確認項目 | 見るべきポイント |
制度状況 | 新政令46号と関連法令の停止状況、改正法の施行予定 |
品目区分 | 加工食品、青果物、畜産物、水産物などの分類 |
ラベル | ベトナム語表示、栄養成分表示、原材料表示 |
添加物 | ポジティブリスト掲載、使用上限、食品カテゴリー |
残留基準 | 農薬、動物用医薬品、重金属の基準適合 |
包装材 | 食品接触材の自己申告や素材基準 |
書類 | インボイス、パッキングリスト、CFS、原産地証明書 |
追加証明 | 植物検疫、動物検疫、衛生証明、施設登録 |
スケジュール | 現地到着日、通関予定日、制度変更時期との重なり |
現地確認 | 輸入者、通関業者、現地コンサルとのすり合わせ |
ベトナム食品輸出の注意点は、ひとつの書類やひとつの表示だけで完結しません。ラベル、成分、包装、証明書、制度状況がつながっています。どこか一つが古い情報のままだと、全体の計画に影響します。

参考情報
本記事は、2026年8月時点で公開されている情報をもとに構成しています。主な参照先は以下のとおりです。
nissin21.co.jp ベトナム向けに食品輸出する際の規制
JETRO 食品安全の新政令、運用を一時停止
JETRO 食品安全の新政令の停止延長を決定
MAI International 政令46号 一時停止期間の延長
鴻池運輸 ベトナム向け食品輸出の手続き
まとめ
ベトナムの食品輸出規制は、ラベル、添加物、残留基準、包装材、必要書類のそれぞれに明確な確認ポイントがあります。一方で、2026年は制度そのものが大きく揺れている年です。
2026年8月時点では、旧来の自己申告ベースで輸出できる状態です。ただし、新政令46号と関連制度は無期限停止中であり、改正食品安全法と施行政令は10月頃に動く可能性があります。
実務上の結論はシンプルです。いまは自己申告ベースで動けるが、出荷直前の最新確認を必ず行うこと。特に10月前後に出荷する案件では、通関実績のある輸出代行業者や、ベトナムの食品安全法に詳しい現地コンサルタントと都度すり合わせるのが安全です。
本記事は参考情報であり、法的助言ではありません。実際の輸出では、品目、原材料、製造施設、輸入者、通関地によって扱いが変わる場合があります。出荷判断の前に、必ず最新の制度状況と現地運用を確認してください。




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